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春の夜

 午前3時。

寝るのが怖い。眠ればやつらがやってくる。

やつらには顔はない。

やつらには声もない。

やつらはおもくない。

やつらは湿っている。

やつらはただいる。

やつらはただ見る。

やつらはただ

存在する。

春だから。命生まれる春だから。巡る季節の初めだから。芽吹き、咲き、生きる春だから。

生まれなかった命。

ここにあった命。

うしなわれた命。

あったはずの。

なければならぬ、命。

すべてがここにあり、なにものもここにはない。

ありように悩み

生き方にも悩み

存在を否定し

命を否定し

そして死にはしない。

私は時。

幾億の星と空間のはざまにあるもの。

私は理解しない。

命が、なんであるのか、

生きるということが、なんであるのか。

私は意識。

なんのためかも、いつまでなのかも、知らされず

ただ生まれ!

ただ死ぬ!

私は眠りはしない。幾億の時間と幾重の空間の全てであるような。

私は死にはしない。

私は生きはしない。

私はただある。

ああ、やつらとおなじだ。