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『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』

 日本には、アニメの『マジンガーZデビルマン』『グレートマジンガーゲッターロボ』や実写版ならば『モスラ対ゴジラ』『極道vsまむし』『極道vs不良番長』から果ては『貞子vs伽耶子』に至るまで、それぞれ単独の映画・ドラマの主人公を対決もしくは共闘させる映画文化がある。DCコミックスの“ピン”ヒーロー「バットマン」と「スーパーマン」をこれまたタイトルに配し、そこに「ワンダーウーマン」まで絡む映画『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』も、ハリウッドの娯楽大作故、当然同じノリで撮られているものと思っていた。この3大ヒーローが大暴れして、悪を相手に大立ち回りを演じる映画だろうと。しかし蓋を開けてみると、本当にバットマンとスーパーマンが骨肉の戦いを繰り広げるし、物語自体何とも煮え切らない、やるせないものだった。

 本作の鍵を握るのが、『スーパーマン』シリーズの常連悪役・レックス・ルーサー(Jr)。本当の目的が何なのか今ひとつ分からないキャラだったが、どうもスーパーマンを亡き者にしたい、との欲望に駆られているようで、「スーパーマンは『偽りの神』で危険人物」なるデマを吹聴しながら、かつてスーパーマンとゾット将軍との死闘の煽りで自社ビルを破壊されたブルース・ウェインことバットマンの懐疑心を巧みに利用して、彼ら2人のヒーローに無益な死闘を仕掛ける、という役どころを演じている。かつてはジーン・ハックマンが渋〜く演じた役を、ジェシー・アイゼンバーグなる俳優が嬉々と演じている。このジェシー・アイゼンバーグ、大学教授の父と道化師の母を持つ、というユニークな生い立ちで、このすっとぼけたようなインテリ社長の役を堂々演じ切っていた。

 でも、「お互いに同じ正義の志を持つヒーロー同士が、騙されて戦う」というシチュエーションは、ちょうど『アンパンマン』で、ばいきんまんに唆されたゲストキャラが、誤解でアンパンマンと戦ってしまう構図とそっくりで、観ていて何とももぞかしかった。それこそルーサーがばいきんまんで、騙された方のバットマンに「もうお前には用はない!」と捨て台詞を吐いてもおかしくない展開だったもの。だからこそ今ひとつ面白みに欠けるストーリーだったよ。さんざん悪事を働いて一時は人類滅亡の危機まで引き起こしたのに、結局諸悪の根源であるルーサーは、逮捕されて刑務所に収監されるのみ。これじゃまた脱獄して悪事を働きそうだし、「これでいいの?」って結末。事件の煽りでスーパーマンは死んでしまうんだから、ここは一つ、うんと惨めったらしい最期を見せてほしかったね。そうしないと観ていて悶々とするばかりだし、すっきりできるハリウッドらしい作品には、とてもなり得ていなかったなぁ……

 正直、出は少なかったけど、クライマックスでのワンダーウーマンの颯爽とした登場が、せめてもの救いだったね。圧倒的に強かったし。あれは別格的に格好良かったよ(;^_^A

 それにしても……いつも思うことだけど、どうして最近のハリウッドSF大作は、こんなに煮え切らない作品ばかりになったのかなぁ………