読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

生地について 老いのきざはし

芸風書院刊・「岡田武雄詩集」を読んだ。日本現代詩人叢書。

岡田武雄は大正ー平成期の福岡県出身の詩人。ネットで調べたら2007年没とあった。北九州詩人懇話会の代表幹事だったらしい。ふむ。

・・・んなとこで目に留まった部分を抜粋。

「風につつまれた野を底野と呼ぶ

あだし野

あやし野

荒れ野

ひとは それぞれの名で

そこを畏れた

指さす指の方向から

眼はわずかに逸れ

みずからの野をもとめた

多すぎる水

すこしばかりのひかり

そこを ひとは

生地(むら)と呼んだ」

(p15-16、「生地について」)

「ひとが風のように葬られ

ひとが尾花のように胎む

村の約定が

習慣のままで行われる

母は科人のように

わたしを生んだそうだ

木屑にまみれて

ひい ひい 泣いて育った習性は

紅殻の染んだ指では

消せなかったそうだ」

(p20-21、「雉子車」)

「山の畑に白い蕎麦の花が咲く ずっとむかしの噺である

浅い眠のなかで娘は 紅花が咲き乱れたような野の夢を見ていた」

(p82、「流れ灌頂」)

以上〜。古い詩だが面白かった。